不漁ジャム

しじみの香りの入浴剤が砂の中に埋もれている。

夏になった
カーテンの下で、液体に手を浸していたら、なんだか寂しくなった
僕はだれからも欲されていない、それに気付いてしまったのかもしれない
予想以上に青くない夏で、ちょっとがっかりしたけれど、まだまだ夏もこれからかななんて特にいうあてもない予想をまた立ててみる
床はとてもひんやりしていて気持ちよくて、手のひらに液体を垂らしてみた
なんだか、それに映るものが、いま僕が欲してるものなのかもしれない

めんどくさくて、外に出ないようにした
だからいまここで、カーテンの下でごろごろしている
ここは冷たくてとてもいいけれど、窓の淵にどんどん飲み込まれていくようで、はやく抜け出したほうがいいかなって思ってもみた
だけどやっぱりめんどくさくて動けそうにない
そうしてるうちに、どんどん欲されなくなって、孤独だと錯覚するようになる
外界に触れたかった、ただそれだけの心で、流しそうめんをやってみた
やっぱり夏はそうめんだよなあ
と思った