思い出のノコギリに手を添えた
夏休みのある日の昼下がり、図工室のほうからなにかきこえた
彼女の笑い声だった
聞きたくもない声にすこし気をとられて廊下を歩むのを図工室のまえでやめた
ちょっかいでもだしてやろうかと思ってあたしは星がたくさん入ったバケツをもって図工室に入った
真っ暗な図工室
そばに彼女の気配がしたので、そこに思いっきりバケツの中身をぶちまけた
驚いた
彼女はたしかにそこにいたけど、たぶんこれはもう死んでる
なんの反応もない彼女をみて
望んでいたことだったのに急に寒気を感じた
星は屑になり床にぽろぽろと落ちた
やけにその音がうるさかった
彼女の体液と星屑が重なってオーロラみたいになってる
ごめんね
って言った
そしたら、うしろから君の声がした
いいよって言ってた
君はあたしに視線を向けたけど、あたしは知らないふりをしてバケツを彼女の頭に被せた
ほんとうに愛しい君のために星をささげます
一生忘れることはないと思うこの瞬間、ふつふつとこみ上げる悲しみを受け止めたら、光がさしこむ窓からわずかに風が吹いた気がした
あたしは君を殺したのかな
彼女とおんなじように、また、ちがうように
443gorira