不漁ジャム

しじみの香りの入浴剤が砂の中に埋もれている。

律儀に裏切る

白い砂漠があって冷たい風が吹いています。そこにぽつんと建物があります。青い大きなガラスが北西の方角についていて、それ以外の面はカーテンのような白い布でできているような曖昧な建物です。砂漠に風が吹くたびに、白い布はふわふわと揺れて、生き物のように見えるんです。部屋の真ん中には椅子がおいてあります。明確な色はない椅子です。その椅子に腰掛けて寝ると、夢をみます。風は依然として吹き続け、布はさらさらと揺れます。青いガラスから差し込む光が椅子の影に反射して紫色のネオンが椅子の下でゆらめいています。ぱぱっぱらっぱらっぱっぱっ砂が舞う音さえも聞こえてくるような静けさです。日陰と日向が交互にささやきあっています。天気などはありません。ただ、上に空の色が広がっているだけです。夜になると白い砂は一粒一粒発光し、白かった布は深い青色になって、こうもりのようにはたはたと羽をはためかせています。椅子は、誰かに座って欲しがるようにひとつさみしくおいてあります。星は数えきれないほど見えます。


わしが目を瞑ると見える世界です。ばい指示味